本格推理委員会

※この記事に最初に足を運ばれました方は、以下のリンク先を先に見てくださいませ(礼)

【サークルについて】
http://ginganovel.blog.jp/archives/6777896.html

【メンバー募集要項】
http://ginganovel.blog.jp/archives/13698622.html

【メンバー紹介】
http://ginganovel.blog.jp/archives/6809588.html

【参加・出展情報】
http://ginganovel.blog.jp/archives/14491612.html

【一本桜の会『企画・事業内容、支援企業、協賛者』】
http://ginganovel.blog.jp/archives/18830857.html

毎月26日にお送りしています、コーナー「藍沢篠の書架」第23回をお送りいたします。
今回の紹介は、日向まさみちさんの「本格推理委員会」です。
書影は上の写真の通り。
角川文庫より好評発売中……なのでしょうか、現在は入手困難かもしれないです。

~あらすじ~

小・中・高校の一貫教育学校・木ノ花学園の音楽室に、死んだはずの女性が現れたとの噂が流れる。
探偵の素質を持った少年少女を選抜して結成された"本格的に推理をしてしまう委員会"『本格推理委員会』に、理事長の命令で入ることになった高校生の城崎修は、その怪談話の発生源を探り始めるが、そこには思わぬ真実が待ち受けていた!
(角川文庫版あらすじより)

~感想・雑感~

夏といえば怪談話のシーズン。
そんなわけで、今回は怪談話の登場するミステリ作品をひとつお送りいたします。

今回は前置きは短めにして、さっそく内容へ。

物語の主人公・城崎修は、アルピニストの父と小説家の母を持ち、大道芸人を夢見る妹のミアと一緒に暮らしている、若干普通からは離れたような暮らし方をしている少年として登場します。
そんな彼は、木ノ花学園高等部への入学当日、理事長の木ノ花あざみが突如として課してきた、新入生に対するテストを全問クリアし、あざみが結成した「本格推理委員会」に半強制的に加えられることとなります。
なお、このテストを全問クリアしたのは修ともうひとり、修の幼馴染(というか腐れ縁)で驚異的な「直感」を持つ少女・木下椎です。

「本格推理委員会」のメンバーは、結成した張本人ことあざみの他、委員長で頭脳派の桜森鈴音、武闘派の楠木菜摘のふたり。
ここに「直感」という切り札を持つ椎と(名目上は)雑用として修が加わります。
……が、修が加えられた理由がまだ本当でないあたりは、お察しいただけますよね。

学園内の「推理」に繋がるかもしれない事案を探し、小学部の側で噂になっていた怪談話に行き着いた「本格推理委員会」メンバーたちは、それぞれの役割を果たしつつ、調査を進めてゆきます。

この作品で取り扱われている「謎」は、実際にそんなことがあってもおかしくないことです。
いまでは一般的になった「日常の謎」のカテゴリに近いかもしれません。
ミステリ初心者にでも比較的簡単に、それこそ椎の「直感」並みの考えでも、意外と正解には辿り着けるので、これからミステリを読んでみたい、という方に向いている作品でしょう。

物語のコアになっているのは、ミステリというよりは「人間模様」の方にあると思います。
修が「本格推理委員会」に加えられた本当の理由など、さまざまなエピソードが組みあわせられて、物語をよりおもしろくしているのが特徴といえましょう。

この夏、ミステリを読み始めたいという方には、うってつけかもしれない作品です。
もしかしたら、読者さんの中から「探偵」向きの方が生まれるかもしれませんよ。

~書籍データ~

初版:2004年7月(産業編集センター)

文庫:2006年12月(角川文庫)

~作者さんの簡単な紹介~

日向まさみち(ひなた・まさみち)

1980年生まれ。京都府出身。
2004年に「本格推理委員会」で第1回ボイルドエッグズ新人賞を受賞、同作でデビュー。
2011年に第2作「ロンリー・コンバット!」を発表。
以降は作品の発表がないものの、ライトノベル風の軽妙な作風で読ませる新鋭作家。



……というわけで「藍沢篠の書架」第23回は、日向まさみちさん「本格推理委員会」でお送りいたしました。
この紹介から、実際に本をお手に取っていただけることを切に願っています。

それでは、次回をお楽しみに。