ミウ

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毎月26日にお送りしています、コーナー「藍沢篠の書架」第34回をお送りいたします。
今回の紹介は、乙野四方字さんの「ミウ -skeleton in the closet-」です。
書影は上の写真の通り。
講談社タイガより好評発売中です。

~あらすじ~

就職を前に何も変わらない灰色の日々。
あたしは何気なく中学の卒業文集を開き、『母校のとある教室にいじめの告発ノートが隠されている』という作文を見つける。
それを書いた元同級生が自殺したと知ったあたしは、その子のSNSのパスワードを暴いてログインし、その子の名でSNSを再開した。
数日後、別の元同級生が謎の死を遂げる。
灰色の日々に、何かが始まった――。
(講談社タイガ・あらすじより)

~感想・雑感~

灰色の日々を送る、というと、実に退屈なことのようにも思えますが、それがいかに平和でありがたい日々なのかを感じさせられることもあります。
この作品を読んで感じる後味の悪さは、その類いのものとだけ、前置きしておきましょう。

それでは、内容の方へ。

主人公・池境千弦は、大学を卒業して社会人になろうとしているさなかの女性です。
そんな彼女はある日、引っ越しを終えて実家に帰省している際、ふとした気まぐれで中学時代の卒業文集を手にし、その懐かしさにわずかに浸りかけます。
が、その中に中学時代の「いじめ」を告発するかのようなノートの存在を示唆する内容の作文が載せられていることに気づき、千弦は独自に調査を開始します。

その中で、ノートを発見した千弦は、そのノートの内容から、自殺した元同級生のTwitterのアカウントへのログインを試み、成功。
以降、その元同級生として振る舞うようになってゆきます。

話が動きだすのは、ここから。
かつて千弦の同級生だった女性・原下佐織が、不慮の死なのか自殺なのかが読めない「不可解な死」を遂げます。
いったいなぜ、彼女は死ぬことになったのか。
そこから、さらに日常の歯車は狂い続けて、最後にはとんでもない真相が待ち受けています。

話が前後しますが、この物語の冒頭には、とある交通事故の記事が載せられる形で始まっています。
この交通事故こそが、すべての鍵になっている部分もあるのですが、すべて話してしまうと興ざめなので、ここでは割愛いたします。

現在、Twitterをはじめ、SNSではいわゆる「ナリアカ」(←なりきりのアカウント)などというものが跋扈している現状もあります。
それがいいことなのか悪いことなのかは、当事者にしか判断はできません。
もし、ちょっとでも興味を持った方がいたら、この作品を読んでから判断した方がいいでしょう。
非日常の扉を叩いてしまうのか、それとも日常の灰色に浸かって生きるのかは自由ですが、どちらにしても後味の悪さが残らない生き方をしたいと思わされるかと思います。

~書籍データ~

初版:2018年9月(講談社タイガ)

~作者さんの簡単な紹介~

乙野四方字(おとの・よもじ)

1981年生まれ。大分県出身。
2012年に第18回電撃小説大賞・選考委員奨励賞を受賞した「ミニッツ ~一分間の絶対時間~」でデビューする。同作はシリーズ化され、既刊5巻。
2013年に「革命機ヴァルヴレイヴ」を発表。こちらもシリーズ化され、既刊3巻。
2015年に「ラテラル ~水平思考推理の天使~」を発表。
2016年に「僕が愛したすべての君へ」「君を愛したひとりの僕へ」を同時刊行。ハヤカワ文庫に進出し、大きなインパクトを残す。
2018年に「ミウ -skeleton in the closet-」を発表。
その他の著作に「神獄塔 メアリスケルター 光の在処」などがある。
予測のつかないトリッキーな文体とオチで読者を魅了する新進気鋭の作家。



……というわけで「藍沢篠の書架」第34回は、乙野四方字さん「ミウ -skeleton in the closet-」でお送りいたしました。
この紹介から、実際に本をお手に取っていただけることを切に願っています。

それでは、次回をお楽しみに。