※当ブログの詳細情報はこちらからお先にどうぞ(礼)
http://ginganovel.blog.jp/archives/29360308.html

当ブログをご覧のみなさま、こんにちわ(礼)
管理人その2こと藍沢です。

今回は前置きなしで、きのう参加してきた「3.11 いわて文化復興支援フォーラム」の様子になります。

受賞者は少し早く集合、とのことで、お昼の12時くらいに会場入りした藍沢。
しばらく開場を待っていると、すっかり顔見知りになった盛岡タイムスの記者さんと最初に逢いました。
今回のフォーラムのことも記事にしてくださるみたいですね。
本日かあすあたりに載るのではないでしょうか。

さらに少し待っていると、最優秀賞に輝いた、久慈市の神久保敬里さんが到着。
昨年よりもいろいろと話をさせていただき、名刺も交換いたしました。
神久保さんのむかすっこ語り、いつか生で聴いてみたいですね。

そのあとは入選組のみなさまや、佳作の東野正さんも会場入り。
受賞者の参加は5人でした。
優秀賞は全員が県外の方でしたのでどなたもこられませんでしたね。

そのあとも関係者が続々。
選考にあたってくださった柏葉幸子先生や斎藤純先生らも到着して、席が埋まってゆきました。

さて。
13時半になり、開会です。

まず行われたのは、表彰式。
今年はこんな感じの賞状をいただきました。

いわて震災小説2021・賞状

昨年と同じ感じですね。
まあ、入賞した内容も同じ入選なので、それもそうかと思いますが。

このほかに、作品集1冊と副賞の図書カードもいただきました。
作品集はこんな感じです。

いわて震災小説2021

オリーヴグリーンの表紙ですね。
11編収録で500円とたいへんお得な価格ですので、興味のあります方はぜひ、いわてアートサポートセンターに問いあわせてみてください。

表彰式に続いて、さっそく本題。
神久保さんの最優秀賞受賞作『沈丁花の咲く場所で』の朗読劇になります。

今回は4人の読み手さんによる劇でした。
県内で活躍するアナウンサーさんと劇団の方々、すっかりおなじみのジャズピアニスト・鈴木牧子さんの生演奏でです。

『沈丁花の咲く場所で』は、2031年を舞台に、箱根の旅館の少女・瑠璃の視点から話が始まります。
ある日、旅館に岩手県からの客・徳治が訪れ、瑠璃にとっては耳慣れない東北訛りの喋りで会話を交わす様子から、物語が動きだします。

徳治は50年前にも旅館を訪れたことがある、ということが古い記録から明らかになり、2度めの来訪となった今回は、ある目的があっての来訪であることが明かされます。
瑠璃はそんな徳治に対し、最初はやや見下したような感情をいだきます。
そんな瑠璃に徳治は、大女将を呼んでくれないか、と声をかけてきます。

大女将である瑠璃の祖母が登場し、本当は徳治は20年前、真珠婚式を迎える際にも旅館を訪れる予定だったことが明らかに。
しかし、それが叶わなかったのは……いうまでもなく、震災が原因でした。

岩手県大槌町で暮らしていた徳治は、妻が震災で亡くなったという過去の持ち主。
思い出の品などもすべて流されてしまったため、葬式も簡素にしか行えなかったことが明らかになります。
瑠璃はその後、震災当時の大槌町の映像をインターネットで見て、ひとり涙を流します。

震災当日の場面の朗読は、BGMの演奏も荒々しくなり、まさに臨場感満点。
ここで涙した方も多かったです。

翌日、旅館を去る徳治に対し、瑠璃は「いつか岩手県に行きたい」と声をかけます。
また、大女将は徳治のために、あるものを手渡すのですが……そのオチまでは明かさないでおきましょう。

非常にこころに沁み渡る、すばらしい作品だったと思います。
演じられた方々の技量も見事なものでした。
朗読劇を聴く醍醐味を感じられた時間だったと思いましたね。

さて。
朗読劇に続いて、ディスカッションになります。

ディスカッションでは、今回の選考にあたったメンバーから、柏葉先生と、札幌市からのリモート参加で、外岡秀俊先生が参加されました。
その中で、気になった話をかいつまんで。

外岡先生が語った中で印象的だったのは、ジャーナリズムの観点から見た震災は「事実を伝えること」が重視され、感情的な面などは省かれた感じになる、ということがひとつ。
それに対し、小説など創作の観点から見ると逆に「あったかもしれない感情などを伝えること」が大きなウェイトを占めてくる、ということが語られました。
つまり、報道と小説では、求められるものの属性が違っているのですよね。
このあたりは今後も創作をする上で、覚えておきたいと思いました。

柏葉先生の語りでは「せき立てられるように書くこと」と「使命感」の違いが少し。
柏葉先生は震災に関する作品を書く時、せき立てられるような感覚になることが多いのだとか。
ただ、それは「これを書かなくてはいけない」という使命感とは違ったものだといいます。
不思議な感覚ともいえるものですが、こちらも興味深いものでした。

コロナ禍と交えた震災の話もでてきたりと、非常に興味深かったディスカッション。
通信の関係で時間は短かったですが、いいお話が聴けた気がします。

そんなこんなで、フォーラムは終了。
それぞれが帰途につく中、去り際に斎藤先生から少しだけ、アドヴァイスをいただきました。
それは「もうひと捻りの工夫を凝らすこと」。
自分はストレートで勝負するタイプと思っていますが、そこにあと少し、工夫を凝らすべきだというご指摘でした。
なるほど、と思いましたね。

そんなわけで、かいつまんでになりましたが、きのうの様子でした。
以上、藍沢でした。