ヒタキ

※写真:Wikipedia「鳥類」より

※この記事に最初に足を運ばれました方は、以下のリンク先を先に見てくださいませ(礼)

【サークルについて】
http://ginganovel.blog.jp/archives/6777896.html

【メンバー紹介】
http://ginganovel.blog.jp/archives/6809588.html

迫害された思いの欠片はどこへとゆくのか
とりとめもなく考えていた一羽の鳥は
いのちの雫を飲み干しては甘美に酔った
羽ばたくことも覚束なくなりふらふら揺れ
まっすぐに見つめていられるものも失くし
アンバランスで窮屈に自らを閉ざしていた

酔いを醒ますかのように首を振ったり
羽を時折ばたつかせはしていたけれども
そんなに簡単に酔いが消えるわけもなくて
いままで見ていた世界を呪っているのか
それとも空という居場所を恨んでいるのか
いずれにしても感情が壊れたように見える

軋むような鳴き声もしばらく閉ざしたまま
ぶれて歪む視界の中で呪詛を吐き続けた
こころだけがいかれてしまったかのようで
敵もいない架空の戦いを夢に見ながらも
その一方で己になにもないことを噛み締め
無力な境遇と哀れな痛みを味わっている

体裁なんてものは鳥にはまったく要らない
偉大な大空を自由に羽ばたけるだけでも
それすら叶えられない生きものからは
十分に羨望の的となるのは確かだろうから
鳥に生まれ鳥に育って鳥として営む以上は
飛べるということを大切にしてほしいのだ

それなのにいま目の前にいる鳥ときたら
酩酊して自分のことすら見失っているので
なんだか腹が立つ思いに駆られそうになる
時には酔いしれるのも悪いとはいわないが
それがずっと続くようではいけないのだ
いつか目を醒ます時がくることだけを祈る