東北おんば訳 石川啄木のうた

※この記事に最初に足を運ばれました方は、以下のリンク先を先に見てくださいませ(礼)

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当ブログをご覧のみなさま、こんにちわ(礼)
管理人その2こと藍沢です。

今回も前置きなしで、きのう行ってきた、トークショーの話を。

盛岡駅ビル「フェザン」の本館3階にある、さわや書店・ORIORIが会場でした。
さわや書店さんの中でもちょっと特殊な本屋さんで、イベントなども随時開催されています。
先月には、宮沢賢治さんに絡んだ作品の芥川賞・直木賞のおふたりのトークショーもあった場所。
たまに足を運んではいましたが、本格的にイベントに参加したのは初めてでした。

ちょっと早く行きすぎたかな、と思いきや、少し休んでいた所で、岩手児童文学の会の会員さんと再会。
写真の本「東北おんば訳 石川啄木のうた」の編集にも関与したお方でした!
メールではちょこちょことやりとりがありましたが、直接の対面はおととしの児童文学大会以来。
ご在住の大船渡市から盛岡市までは3時間ほどかかったそうです。
それでも、やはりご自身が関係したというだけあり、はるばるやってきたみたいでした。

お話をさせていただきつつ始まりを待っていると、岩手児童文学の会の事務局の方々もいらっしゃいました。
事務局の方々とも昨年以来の再会でしたので、積もる話もありましたが、それは後述。

開演前に、トークショーの中心になる本の購入を行いました。
改めてになりますが、それが写真の本。
新井高子さん編著「東北おんば訳 石川啄木のうた」になります。
この本は、石川啄木さんの短歌を、岩手県沿岸南部の方言・気仙語に訳してみたという内容。
岩手県は広いために、内陸と沿岸、北部と南部でそれぞれ方言が異なっています。
北の方の出身の藍沢にとっては、気仙語は未知なる方言に近いものでした。

さて、トークショーの始まりです。

トークを行ったのは、新井さんともうひとり、明治大学の教授さん・管啓次郎さん。
おふたりはともに詩人さんでもあり、詩・短歌・方言などの造詣が非常に深いお方です。
管さんの落ち着いた雰囲気の話の展開に対し、新井さんはテンションが高め。
とても楽しげにお話をされていたのが印象的でした。

トークの中では、本を刊行するまでに至った経緯と、それまでに行われた、大船渡市での様子などが登場。
途中では実際に気仙語での朗読の様子を記録した映像も流され、生の気仙語を聴くことができました。
藍沢の出身地・葛巻町の方言ともだいぶ趣が違っていて、それで石川啄木さんの短歌を読むと、また新鮮。
映像の中で気仙語版の短歌朗読を披露していたおんば(←「おばあちゃん」の意)の読みは見事でした。

映像を見終えたあとは、再びトークへ戻ります。
東日本大震災のあったころ、新井さんや管さんは共同プロジェクトとして、詩集の話を進めていたとのこと。
そんな折に震災があり、新井さんは宮古市にお住いの、知りあいのおんばのことが気になったそうです。
その後、無事だったおんばを訪ねた際、仮設住宅などにお住いの方に、教室をやってくれないかといわれたとか。
当初はおんばのいる宮古市で行うことを考えたそうですが、交通の便の都合から、大船渡市になったそうです。
そこで出逢ったのが、前述の編集に関与した、岩手児童文学の会の会員さんだったとのことでした。

他に紹介されたのは、トークショーのタイトル通り、石川啄木さんと宮沢賢治さんの文章の比較。
会場のみなさんに、啄木派か賢治派かを問う場面もありましたが、ここでは賢治派が多数でした。

ちなみに、ひとつここで自分が思いだしたのが、昨年の3.11フォーラムでもあった、啄木派・賢治派のお話。
その時も賢治派が多数でしたが、石川啄木さんと宮沢賢治さんのどこが好きかと問われた場面がありました。
石川啄木さんにはネガティヴなイメージが多かったのに対し、宮沢賢治さんは「全部好き」という方も多数。
やはり、語られているエピソードの数々から、どうもそのように意見が割れがちみたいですね。

1886年生まれの石川啄木さんと、その10年後、1896年生まれの宮沢賢治さん。
このおふたりを比べると、目指していた文学の方向性がまるで違っていた、というのがわかるようです。
石川啄木さんは「大きな文学」、宮沢賢治さんは「小さな文学」という形で語られていましたが、まさにその通り。
石川啄木さんの文章が硬く長い感じなのに対し、宮沢賢治さんの文章は表記こそむずかしくもわかりやすいもの。
ある意味、好対照なおふたりですよね。
1886年生まれの文人たちと、1896年生まれの文人たちは、このおふたりと同じような傾向が強いそうです。

さて、そんなふうにして進んでいったトークショーもあっという間に時間となりましたが、最後に詩の朗読も。
新井さんが震災をテーマに書いた詩「片方の靴」という作品の朗読が行われました。
先ほどまではテンションの高かった新井さんも、朗読モードの時は、情感溢れる穏やかな読みに。
すばらしいクオリティの詩を聴かせていただき「詩とはこういうものなのか……」とも思わされました。
本当に見事としかいいようのない作品、すばらしかったと思います!

トークショーのあとは、サイン会も。
藍沢も本にサインを入れていただきました。
この際に、ちゃっかり名刺を渡し、詩集も差し上げてきてしまいましたが、読んでいただけるのですかね……

大船渡市まで帰られる会員さんと別れたのち、岩手児童文学の会の事務局のおふたりと、少しお話。
児童文学の会の今後のことや、近況など、積もる話をいろいろさせていただきました。

そんなこんなで、楽しかった時間はお開きに。
いい1日だったと思います!

まとまりのない記事でしたが、そんな雰囲気でした、藍沢でした!